MOFONGO'S REGGAETON

プエルトリコのレゲトン

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Tego Calderon/The Underdog

低温でゆっくり沸騰する深い熱気とパーティー・チューンに潜んだ煙った冷気。ストレートなレゲトンのビートの奥に彼だけのリズムが鼓動を打つ。

El Subestomado "The Underdog/El Subestimado" / Tego Calderon

2002年の強力なデビュー盤”El Abayarde”の後、デビュー前のチューンをメインに組まれた04年の”El Enemy de los Guasibiri” を挟んで、メジャーのアトランティックからようやくリリースされたこの”The Underdog / EL Subestimado”

ElAbayerde "El Abayerde"

2003-2004年頃からレゲトンがインターナショナルなマーケットへ急激に広がり、気がつくとルニー・トゥーンズのサウンドが席巻していた。

そんな中でテゴは次の一手を見せなかった。当時の多くのインタビューでも盛りあがる”シーン”とは一線を画した立ち位置にいる事、ムーブメントにレスペクトを示しつつ自分はレゲトンのアーティストではないと言う発言もしている。

Tego2

一方で、彼の”ブラック・ルーツ”の故郷であるアフリカを訪問し、その現実に大きな衝撃を受けたり、今年封切予定の”Illegal Tender”に悪役”Choco”として出演したりと音楽以外の動きも重ねていた。

◆◆◆


そして2006年、彼が提示した音はルニー・トゥーンズのレゲトンと全く違った色彩をもったものだった。もちろん彼はLTとは盟友だし、今回も1曲彼らのプロデュースを織り込んでいる。しかし、メインのプロデュースはダニー・フォルナリス(Danny Fornaris)を選んだのだ。

Danny Fornaris

コアなレゲトン・ファンならダニーの名前からその音作りがピンと来るかもしれない。何と言ってもカジェ・トレセ(Calle 13)”Cabecceo”"Suave""Se Vale To-To"、"Tengo Hambre"、Vamo Animal"のシャープでオルタナ・クールな音、ボルティオ(Voltio)の"Mambo"でのサルサによりつつヒップホップ感覚が鋭い音、ドン・オマールKing of Kings”のクールで最高にかっこいい”Jangueo”などが彼の音などだ。

こんなフォルナリスをプロデュースに選び、テゴはボーナス・トラックを入れて23曲の中に(日本盤は24曲)彼の”リリカル”な世界を凝縮している。

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何曲か聴いてみよう。
“俺の名前は?”と呼びかけ会場のファンが”テゴ!テゴ!”と答えるのがかっこいい一曲目"Como Me Llamo Yo?"でスタート。

Tego1

アルバムからのファース・カットである二曲目 “Los Mate (やつらは俺が殺った)”は古いランチェラ”El Preso Numero 9” (Hermanos Catonの曲。Trio CaballeriosやJoan Baezなんかもやっている)をモチーフにフォギーな声を押し出している。
→You TubeでPVを見る



Los Mate

◆◆◆

三曲目は “Mardi Gras”「マルディ・グラ」は有名なニューオリンズのカーニバルのハイライト。英語ならFat Tuesday。アフロ系が普段の苦難のエネルギーを歓喜と熱狂で吐き出す祭り。

デルタ・ブルースの味付けをされた曲の奥には、サンティアゴ・アポストルのフィエスタを祝うロイサ/プエルトリコを初めとして南はトリニダッド、キュラソーなどの島だけでなくベネズエラのカジャオ、コロンビアのバランキージャまで貫き通すカリブ/アンティジャーナの様々なカーニバルのエネルギーが潜む。

Mardigras1 "Mardi Gras"

ブルースからR&B/ソウルを通りヒップ・ホップまで繋がるアフロ=アメリカンの深い歴史とビート。メントからスカへR&Bが絡みつき、レゲエからダンスホールへとレゲトンにデンボウを宿したジャマイカのビート。それら2つを含みつつボンバのリズムやヒバロのメロディー、そしてルンバやソカと同様にカリブのビートと”ゆれ”を持つレゲトン。

こんな風に交錯するアフロ・オリジンのビートの流れとエネルギーをニューオリンズ(米)/ハバナ(キューバ)/サンファン(プエルトリコ)/ポルトープランス(ハイチ)/ポート・オブ・スペイン(トリニダード)などが一つの地図に含まれていた時代にもどして、エネルギーと熱狂を吐き出したかのようだ。
◆◆◆


6曲目、プエルトリコのストリートのムードたっぷりな電話のインタールードから7曲目”Payaso”(ピエロ)にスコっと落ちるイントロはかなりかっこいい。

70年代のエレクトリックなジャズ/ファンクのファンならこのサンプリングは一発で分かるかも。サンプリングの定番曲でもあるポール・ジャクソン(Paul Jackson)のぶっといベースラインはハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の”Watermelon Man”から。

Headhunters Herbie Hancock "Headhunters" (1974)

テゴのネバッこいラップに続いて、クールでかつ身軽、しかしウネウネするボルティオ(Voltio)の絶妙のラッピング、そしてヒップホップの強いアクセントがあるエディー・ディー(Eddie Dee)の3者3様のリリックにノックアウトされる。一番好きな曲。

Voltio Julio Voltio

◆◆◆


9曲目”Llora, Llora “はベネズエラのサルサのベテラン、オスカル・デ・レオン(Oscar De Leon)とのコラボ。
イスマエル・リベラをこよなく愛すテゴにとってサルサは体の一部。オスカル・デ・レオンの力強い声とテゴの粘っこい声が交差する。
OscardLeon "Fuzionando" Oscar D'Leon (2006)

◆◆◆


ルーツ・レゲエ、特にボブ・マーリーを深くレスペクトするテゴは盟友ドン・オマール(Don Omar)と共にジャマイカへ飛ぶ。10曲目 “Chillin'“ジミー・クリフのサウンドをサンプリングし、アフロ=アンティジャーナの感覚を共有するかのようにそのベース・ラインとハモンドの上でラップする。個人的にはもう少しボーダーを越えても良かったと思うけど。

→You TubeでPVを見る





Don Omar Don Omar
◆◆◆


14曲目は”Son Dos Alas”。 “Dos Alas(2つの翼)”と聞いてプエルトリカンやキューバンが思い出すのはこの2つの島の間で活躍し、プエルトリコの国歌ともされる”La Borinquen~a”の作詞者でもある女性詩人ロラ・ロドリゲス・デ・ティオ(Lola Rodriguez de Tio)の「キューバとプエルトリコは一羽の鳥の2つの翼」という作品。

Lola Rodriguez de Tio Lola Rodriguez de Tio

このインタールードで2つの翼の共通のものを思い起こさせ、そして次の曲”Chango Blanco”へと向かう。

Changoとは西アフリカ(ヨルバ)を起源とする信仰の神。非道にもカリブ海に奴隷/商品として誘拐・拉致された黒人たちはその信仰をさまざまな形で守ったが、その一つの形がキューバやプエルトリコ、ドミニカなどでは「サンテリア」、ハイチでは「ブードゥー」、ブラジルでは「マクンバ」などと呼ばれ今もしっかりと息づく。キューバでは特に強く音楽や生活の中に生きている。

そのサンテリアの神(オリシャ)の一人がこのChango。雷を轟かす雷神であり太鼓を支配する、音楽、リズム、ダンスの神様。そんなアフリカ起源の神を歌いながらブラック/アフロ・カリビアンである事への誇りを表している。

chango Chango

次の”A Mi Papa”は 昨年無くなった父親にささげた曲。彼の父はテゴが小さなときからブラックであることに誇りを持たせるように育てたのだという。そして、音楽家でもあった父は彼の耳を作ったとも言えるだろう。そんな父親への思いを手紙に書いたようなリリックは心を打つ。
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17曲目の”Cuando Baila Reggaeton”はルニー・トゥーンズの音の中、昨年人気が大ブレイクしたウイシン&ヤンデルヤンデル(Yandel)がこれぞ旬のレゲトン!というようなサウンドを聞かせてくれる。

WisinYandel10  Wisin & Yandel

歌詞も面白い。「プエルトリコ大学の女子大生の彼女(プエルトリコ独立派のJuan )Mari Brasのようなバリバリのナショナリスト。でもレゲトン大好きで踊るとすごい!行っちゃうんだよ 。」なんて感じ。オールド・サンファンのクラブを思い出す。
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その他19曲目のインタールードのロイサの薫り高いボンバ(Holandes)、Buju Bantonとのダンスホールなどまだまだ面白いのがあるけど長くなりすぎたのでこれくらいで。

◆◆◆


テゴはこの作品を一つの卒業作品のようなものだとも語っているが、DYでもDon OmarでもLTでもWYとも異なる彼しかない個性がたっぷり楽しめる作品だ。
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  1. 2007/01/06(土) 03:57:12|
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